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Channel: あしあと ~星空航海日誌~
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星ナビ9月号入選

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昨日は天文雑誌の発売日でした。
夜に、GENTAさん家の近くの谷島屋に行ってみたのですが、残念ながら、天文ガイドは置いてありませんでした (;゚Д゚)
星ナビは3,4冊はありましたが・・・。天文ガイド、売り切れたんじゃなくて入荷しなくなったのだとしたらヤだなぁ・・・

星ナビ 入選作 子持ち銀河 M51  オライオン30cm反射望遠鏡 ALICE-Ⅱ CMOSカメラ

星ナビには、季節ハズレになってしまいますが、ALICE-Ⅱ CMOSビデオカメラによる子持ち銀河を応募してみました。
CMOSカメラは、読み出しノイズがCCDに較べて、低いカメラが多いです。
S/Nは、Signal Noise Rate・・の略ですが、ノイズが少なければ、当然、S/Nが高くなる=感度が高くなるという事になります。理屈の上では。
例えば、ST8300Mを-25℃冷却した時のバイアス画像を見てみたら、Stdは、23.2程度でした。焼津の御大、ロンキーさんのASI 178MM-Coolでは、標準偏差は9.0でしたから、単純にノイズのばらつきだけから判断しても、約2.58倍 ASI178MM-Coolの方が感度が高い!ことになります。
実際には、画素ピッチ、センサの量子効率、飽和電荷容量によるADUが絡んできますから、もっと複雑ですが・・・ノイズだけに着目した場合の感度差は案外大きいんだなー・・と理解して頂ければ嬉しいです。

ところで、この感度差2.58倍って、どういう事だと思いますか?
当然、露出時間が、1/2.58倍で済む!ということになります。
が、これは1枚あたりの露出時間のお話です。
天体写真の様な、微弱光の場合、やはり光をなるべく多く蓄積していかないと美しい天体写真にはなり難いということもあり、総露出時間はやはりある程度以上の露光時間をかける必要があると感じています。

CMOSカメラは現在のところ、露光時間を伸ばすと暗電流ノイズが劇的に増えていくこともあり(冷却CMOSはこの点で大きなアドバンテージがあります)、またスイッチングによる固定パターンノイズやランダムノイズ、それとCMOSの性質上、ダークフレームは完全にマッチすることは難しい、などなど、種々の問題がありますから、ここでの読み出しノイズの少ないというメリットを最大限に活かすには、1枚あたりの露出時間を落として、取得枚数を増やす(総露出時間は冷却CCDと同じにする)、という方法がBestなワケです。
単純に、ST8300Mで1枚あたり5分で撮像していたのなら、読み出しノイズが低い分、5分/2.58=1.937分・・・つまり、約2分で取得して枚数を稼ぐ方がBestかと思います。
最近のCMOSイメージセンサは、QEも非常に高くなっていますから、ASI178MM-Coolなら、1枚あたりの露光時間は1分に落としても、コンポジットすると、ST8300Mと同等以上の淡い星雲を写せるのではないかなー・・・と推察します。

さらに言えば、冷却CCDカメラを使っている人でも、自分も含めて、検出限界まで考えて露光時間を決めている人はほとんどいないのではないでしょうか?
僕の場合も、SXVR-H694冷却CCDカメラでは、ついつい感性的に1枚あたり5分として撮影してしまっていますが、1,2分の露光でも、過剰な露出時間となっている可能性があります。
初期のST6冷却CCDカメラの広告で、1分露出(1秒だったっけ・・?)で、18等!!というのがあったと記憶していますが、そういう考え方。綺麗な映像が得られる露出時間ではなく、写したい天体の淡い部分が写せる露出時間が大事になります。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、ボクのALICE-Ⅱのベースになっているボードカメラは、もともとは監視用などのカメラと思われますので、露光時間が最長でも10秒までしか伸ばせません。
しかし、1枚あたり、10秒でも、冷却CCDカメラで撮影するのと同じくらいに総露出時間を伸ばすことで(実際にはカメラのノイズが少ないので、総露光時間も、もう少し短くても良さそうな感触)、冷却CCDカメラと同等の映像を得ることができた、という事です。

まとめると、
・CMOSカメラは読み出しノイズが低いので、1枚あたりの露光時間は短くても良い
 (IMX174はちと高めですが・・それでもCCDの半分以下かと)

・冷却CCDカメラでは、たいてい過剰露出で撮影していると思われる。
(まぁ・・あんまり短くしても、パターンノイズとか出てきたり別の問題が発生するかも・・あと、デジタル一眼レフカメラの場合は映像エンジンの恩恵を受ける為に適正露出を心がけないとダメですよ)

・結果として、1枚あたり10秒という短い露光時間でも、M51周囲の淡い部分まで描出することが出来た。

・CMOSは、長秒露光がニガテで、さらに固定パターンノイズ対策なども考えると、露出は可能な限り短く、枚数を稼ぐ方が良い

と、いったところです。
でも、ASI1600MM-Coolあたりは、ネットでの画像を見る限りだと、露出時間伸ばしてもかなり良さそうですねー。もともとがデジタル一眼カメラ用のセンサーだからでしょうか。
固定パターンは無さそうなので、ランダムノイズが少なければ、冷却CCD的な使い方でOkかもしれません(それでも、1枚あたり2,3分で多数枚路線が正解じゃないかなー・・という気はしますが・・・どうかなあ・・・)




星ナビ 不採用作  M8M20 フジ X-E1 デジタルカメラ GENESIS SDF屈折望遠鏡

こちらは天竜の森で撮影したときの写真です。改造デジタル一眼レフカメラでなくても、赤い星雲が良く写りますー・・と、アピールしてみましたが・・・
ボクの場合、なかなかこういう写真は採用して貰えないです・・
撮影の丁寧さ(ピント・ガイド・周辺像)に欠けている面があるからかなァ・・・。
それにしても、暗い空の下で撮影できたのと、未改造のデジタルカメラのおかげでしょうか。色合いが綺麗に出たと思います。


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