天文ガイド、ひさびさに最優秀を頂きました。2年ぶりでしょうか。
天文ガイド 2018年4月号 最優秀作品 冬の夜空の小さな宝石たち
書きたいことは、手記の方にも書きましたが、いくばくか、補足といいますか、こぼれ話も含めて (^^ゞ
ちょうど仕事が立て込んでいる時だったので、家電は留守電にしてあったんですが、確認してなかったんですよね。そしたら、仕事中に、ケータイに、03-から始まる番号で、電話が・・。
仕事中だったので、出られずそのまま放置。そうしたら、翌日も着信履歴が残ってました。
まさかなぁ・・と、電話番号、ぐぐったら、まさかの天文ガイド!
速攻で、電話しましたよ、えぇ・・(; ̄ー ̄川 アセアセ
惑星状星雲、天文ガイドでは割りと採って頂いていたこともあって、今回も拾ってもらえることを期待はしていましたが、まさかの最優秀で、びっくり!!
組写真で最優秀って、珍しいですよね?
タイトルも良かったのかも?組写真だとテーマ性が問われるわけですが、併せて、タイトルの自由度も増しますよね。今回、冬の惑星状星雲だったら、最優秀ではなかったかもしれない???
まぁ、最後のNGC2610は、うみへび座なので、冬の惑星状星雲ってタイトルにできないんですけどね。
あくまでも、冬の夜空で見られる惑星状星雲ってワケです。IC289かNGC2610か、は最後まで悩みましたが・・。
IC289はカシオペア座だからあからさますぎるかな・・・と諦めました。NGC2610よりはカラフルで魅力的な天体だとは思います。
前述の様に、連絡が遅れたのもあって、手記の作成日時は、3日程だったのですが、今回、ネタ系の作品だったので、案外、すらすらっとその日のウチに仕上げてしまいました。
画像処理は、大変でした。が、11月は、第二子、大和が生まれたこともあって、年末にかけて、割りと頻繁に岡山に訪れていました。
その間、新幹線の中で、結構、必死こいて、画像処理してました(笑)
最近だと、『ひかり』も、700系になり、窓際なら、コンセントがありますからね。
どうも、2.5型HDDの調子が悪く、保存した筈のデータがロストしているという事態もあり(今、見てみたら、IC289のPSDファイルもなくなってる・・・)、やり直したりして大変だったのですが、こうして、最優秀に選んでいただけると、苦労が報われた気がします。
ToupCamについて。
このカメラは、元Aptinaセンサなので(現オンセミ)、縦縞は出るのですが、Hα線に対する感度はずば抜けています。
超高感度タイプのCMOSイメージセンサとしては、Sony製IMX174がありますが、それとて、Hα線のQEは50%程度です。
このAR0130センサーでは、Hα線への量子効率QEはなんと、驚きの70%超!!
MT9M034センサに比べても、大幅に感度アップしているのが判りますね。実際、ASI120MMよりも、1,2段速射性が増しているのを感じています。
冷却CCDカメラは、初期の頃、大変高価でした。自分が1997年に購入した武藤工業製CV-04Lは、35万円。ピークQEはなんと25%程度しかなかった・・(ABGタイプの為)。次に、2001年に購入したST7Eに関しては、なんと、50万円弱・・(◎-◎;)!! KK価格なのもありましたが・・・。
この当時は、1画素1万円と言われていた時代だったんですよ。
1/3型とチップサイズは小さいものの、QE70%超の120万画素のカメラが、2万円弱(Amazonで買ったので ^^;)で買えるなんて、驚き意外の何者でもありません。
まさに、隔世の感があります。
カラー合成に用いたのも、CMOSカメラです。
モノクロ冷却CCDカメラでは、三色分解合成で、RGBフィルターを通して撮影し、LRGB合成を行うのが定例ですが、Sony製CMOS以外では、縦縞問題が出る可能性があります。
この場合、カラー画像を三色分解で取得し、合成するのはあまり得策ではありません。
ワンショットカラーのカメラで撮影し、LRGB合成を行う方が効率的です。
同じ、ToupCamカラーの、AR0130CS(かな?)センサーを買っても良いかもしれませんが、残念ながら?カラー版センサのQEは、モノクロ版の様に際立って魅力的というわけではありません。
同じ画素ピッチのASI224MCか、あるいはASI385MCを使うのがベストでしょう。
自分の場合、一昨年、2016年末に、QHY5III178Cをポチってますので、このカメラを用いて、LRGB合成を行うことになります。
何回か、ブログでは書いていますが、感度を優先したい自分の撮影では、今ならば、IMX385を採用しているASI385がベストチョイスになるのですが、当時販売されていたIMX185では、裏面照射型のIMX178の方に軍配があがります。
QHY5III178Cか、ASI385か、は用途、つまり、どう使いたいか、によって、決まると思います。
例えば、R200SSと組み合わせて、ラッキーイメージングではなく、TNK撮影で、作品を撮ってみたい、と思った場合、IMX178の600万画素、という画素数は武器になります。
その一方で、ラッキーイメージングを、ワンショットカラーで突き詰めていきたい!と考えるなら、画素数が少ないが感度は高い、ASI385に軍配があがります。
しかし、自分の様にモノクロCMOSカメラで撮った画像にLRGB合成したいのであれば、カラーカメラ側の感度は妥協できる(露光時間を伸ばしても良い≒ラッキーイメージング効果は期待しない)ので、今の、AR0130モノクロ+IMX178カラーは、マッチングが良い組み合わせだと思います。
ZWO社では、ASI385MC-Coolも、ASI178MC-Coolもありますが、どうせ冷やしちゃうなら(長秒露光前提)、組み合わせる望遠鏡にもよりますが、その場合は、ASI178MC-Coolの方が良いのではないかなー・・・
まぁ、どういう望遠鏡と組み合わせるか、どう撮っていきたいか、で、IMX385か、IMX178か、は決まると思います。
手記にも書きましたが、IMX178は、画素数が多いので、使い途は多いのは確かです。
感度か、多様性か。
何回も書いていますが、QHY5III178Cは、単騎でも、フォトコンテストを勝ち抜けるだけの性能があるカメラですし、
応用性も高い、いいカメラだと思っています。
撮影の幅を、可能性を、広げてくれると感じています。
欠点というか、自分の技術が足りてないのでしょうが、、、色調については、どうにも単調になりがちかなぁ・・
CMOS掲示板のYAMASHITAさんは、NGC2022も綺麗に色表現されてらっしゃいましたので、自分の撮影方法や画像処理が合ってないのかもしれません・・・
OⅢが見事に、青緑にしかならないんですよねぇ・・。いや、まぁ、それが正解だとは思うのですが・・・。
もう少し、上手く色を引き出せるノウハウは得たいところです。
手記にも書きましたが、15年前。当時、2大彗星など、撮影にご一緒し、この土地を紹介してくれた、遠天のS男さん。もちろん、不動産屋さんを介して、ですが、いいご紹介をして頂いて、とても感謝しています。
また、頑強な星見丸を作ってくれたミュートンさんにも感謝です。
恐らく、2Fベランダでセッティングしていても、振動は星見丸には伝わらない感触があります。
今後、実戦レベルでチェックしていこうと思いますが・・。撮影の幅が大きく広がりますし、これまでの撮影で、デジタル一眼カメラによる作品でも
冷却CCDカメラの撮影でも、問題なく、実績を残すことが出来ました。
木造2F建てですから、振動を心配し、CMOSカメラによる作品作りに傾倒してきたのですが、どうやら杞憂だったようです。
それも、これも、ミュートンさんが、しっかりとした星見丸を作ってくれたから!ですね。
今後の撮影の幅も広がりましたし、いろいろと撮影していこうと考えています。
また、先日、小学生の時の同級生が、来てくれたのですが、玄関入って、漆喰と欄間を見て、旅館みたい!!木の匂いがいいね!と言ってくれました。
大谷建設さんに伝えてください >ミュートンさん (^^ゞ
天文ガイドにはもう1点。採用されていました。
ん、、実は、3点ほど送ってありましたが、採用されたのは、オーソドックスな作品でした。
とはいえ、この写真、フジXシリーズの悪い点で、RAW撮影だけでは、付属SlilkyPixではJPEG設定時のフィルムエミュレーションが反映されません。
かといって、JPEGでは強い画像処理耐性がありません。
って、わけで。
RAW+JPEGで撮影し、それぞれ、画像処理を行い、色信号は、フィルムエミュレーション・ベルビアから、L画像はRAWからコシの強い画像を作成し、それぞれ処理して、LRGB合成しています。
単純なようでいて、実は、それなりに工夫はしていたりします。
別の時間帯で撮影した写真で、星ナビにも応募しようかとも考えたんですけどね・・
さすがに、コンセプトが同じ写真を両誌に送るのは、二重応募の観点からも、ちょっと無しかなー・・と諦めました。
まぁ、、実際のところ、星ナビさんだと、天文現象ネタは、Webのアストロアーツギャラリーから掲載する様に思いましたし、月食特集もなかったし(ちょっとびっくりしました・・・)、送らなくて正解でしたかね・・。
さて、その星ナビですが、NGC1316が入選していました。
どうも、先月落選したとばかり思っていましたが、応募が遅くなってるせいか、周回遅れになってる模様です・・(。・ω・。)
淡い部分はイプシロンの方が良く写っていたので、オライオン30cmで撮影したものと合成して仕上げました。低空で難物です・・
しかし、淡いハロ部分は想像以上に濃い様で、イプシロンではよく写っていました。まぁ、オライオンでも写ってはいるのですが、写り自体は、イプシロン200+ST10XMEの方が上でした。
なぜか?
理由はいくつか考えられますが、一番の差は、近赤外線の感度の高さ、です。
S○ny製センサは、CMOSではなおいっそう顕著ですが、ピークQEは高いものの、基本的に可視光にピークが来ます。対して、従来構造の延長である、Kodak(現オンセミ)センサでは、赤感度・近赤外感度が高いものが多いです。
以前にも書きました様に、近赤外線領域というのは肉眼では見えないのもあり、必然的に光害源にはなりにくいのです。そのため、Lフィルターを赤外素通しのLで撮影するのは当然として(これが、昨今ではやりにくいのですが・・効率考えたら、L=clear 赤外素通しは、当たり前なんですがねぇ・・・)、近赤外感度がより高いST10XMEの方が、銀河の淡い部分をより、S/N良く捉えるのは当たり前です。
しかし、ハイライト部分に限っては、当然、口径が大きく、画素ピッチも制裁(かつ、F値とのマッチングも良い・・)Pライオン30cmの方が良く写るのも、また、道理です。
そこで、この作品に於いては、個々のカメラの特徴を活かす様に、大きさと角度を一致させて、合成しています。
このような作品が受け入れて貰えるか、不安はありましたが、天文台画像をみてみれば、異なる光学系・カメラの画像を1枚の画像に合成するというのは当たり前に行われているわけです(X線やHα単色、電波画像をHSTやすばるの可視光画像に上乗せする等・・)
ならば、個々のカメラで捉えた特徴を活かした本作品は、アリかな、と思いました。
そう考えていくと、ぴんたんさんがやられている秘伝のたれ方式(しかも、異なる光学系やカメラも複合しちゃう)は、今後、注目していくべき手法じゃないかなーと思った次第です。
以前に書いた様にフォトン数は大事ですからね。
この方式で、新たな、天文学的な発見も生まれる可能性がありますし、少なくともアマチュア作品でも、限界等級が20等クラスまで向上する。
なにより、今ある限界を打ち破ろうという姿勢が個人的にはめっちゃ好きです。
今後は、数年越しでの作品作り、というのも見据えた戦略も大事になってくるかもしれませんね。