今日は、NJP赤道儀を預かっていただいていたI先生のお宅に、引取に伺ってきました。
まだ、星見丸は完成していないのですが、さすがに、そろそろお預かりしていただいて、1年になりますからねー・・
預けていたNJP赤道儀や鏡筒バンドを回収してきました。
年末にハマった、アトラクス用のケーブルも、やはりI先生にあずけていたみたいです(預けたダンボールに記載した目録に記載がある・・)
その後、I先生とは30分程、天文談議。
南半球に行かれた(オーストラリアだったかと・・)そうですが、晴れ間を求めて、少し撮影しては移動して、と5時間も走り回ったそうです。
おかげで赤道儀も持っていったのだけど、固定でしか撮れなかった、とのことですが、しかし、見事な写真でした。
スキャナでスキャンして頂いた写真を掲載しようかと思ったのですが、、、、許可は頂いたのですが、ゴミと反射光で綺麗に取り込みできなかったので、やめておきます・・・
来年の写真展に出すそうですので、お楽しみに!!
これで、機材の8割がたは回収できたと思うので、あとは星見丸ができれば、順次、自宅撮影環境を整えていく予定です。
さて、本題です。
ALICE-IIについて、まだいろいろと悩んでいるところなのです。
いや、まぁ、想定以上の性能があったのはすでに実績として認識していますが・・・
実際に、ラッキーイメージング効果があるのかどうか、ということです。
まず、最初に考えて頂きたいのは、ALICE-IIは画素が粗い、ということです。推定で、6μ強ですが・・
左は、オライオン30cm反射望遠鏡(直焦点だと思います)とASI120MM CMOSカメラで撮像したM57.
右が、ALICE-IIとパラコア2の組み合わせで撮像したものです。
どちらも、ラッキーイメージングで、短時間露光・多数枚で取得したものですが、シーイングの差もあったかもしれませんが、しかし、やはり、ディテール描写に於いては、オライオン30cmF4の光学系に6μ画素の画素ピッチは、粗すぎると感じました。
実際の、エアリーディスクから計算すると、6μはF4の光学系で、ベストマッチだとは思うんですが・・・、処理の問題もあるのかもしれませんが、やはり自分の経験では、F値=画素ピッチ の場合に最高の性能を引き出せると感じています。
あくまでも、経験則、ですが。
惑星写真をやっていると、カメラの画素ピッチが変わると、処理方法を変える必要があることも解っていますので、今の方法を改めて、より良い方法を模索すれば、ALICE-IIでも、ASI120MMに迫るディテールを描出することは可能かもしれない・・と、いうことは、取り敢えず、自分の実力不足は棚上げして記しておきたいと思います。
画素ピッチが細かい方が、ディテール描写が良かった(でも、細ければ細かい程良いわけではないですよ!?)、という例を念頭においてもらって・・・・
ボクが、オライオン30cm反射望遠鏡を活かす上で、SXVR-H694を選択したのは、当時としてはそれ以外の選択肢がなかったこともありますが(実際に、もし出ていたら、ICX814ALGをチョイスしたと思います。直焦点ないし等倍コマコレクターで使うにはベストマッチングでしょうから・・・)、ICX694ALGの画素ピッチが、4.54μ。オライオン30cmF4にパラコアⅡを使った合成F4.6ですからね。
系外銀河のディテールを抽出するという観点からは最高の組み合わせになるから、です。
実際、オライオン30cm+パラコアⅡ+SXVR-H694の組み合わせは、素晴らしい性能を発揮して、多大な戦果を挙げてくれました。
冷却CCD vs CMOS ラッキーイメージング M16
ハイライト部分は冷却CCDカメラの方がキレが良いのですが、その部分は総露出時間の違いかと考えます。
暗黒帯のディテール描写の差が大きいのは処理の問題もありそうですが・・・
なんとも、悩ましい結果ですね・・・
光学系は、同じ、オライオン30cmF4にパラコアIIで、1380mmF4.6(望遠レンズならバケモノですね)
冷却CCDの総露出475分 CMOS 98分54秒
CMOSの方がノイジーなのは、やはり短時間露光・多数枚で、総露出が短いから、です。
同等の露光時間に伸ばしたら、ほぼその点は解決するであろう(と、簡単には言えますけどね、処理枚数が増えるということ・・です)
時期的には、ほぼ同時期、撮影場所も同じぼうらやさん、シーイングの差異はあるかもしれませんが、冷却CCDの方は当然、複数晩の撮像の中から、良いものをチョイスして処理してるので(撮影したすべてのデータを使うことはありません)
なお、賢明な方はお気づきだと思いますが、CMOSの方が、画素が粗いと言っている割に画像サイズが大きいじゃん!と、いうのは、実は、ALICE-IIでは、アンダーサンプリングであることを考慮の上、DSSで、Drizzleで画素数を水増ししているから、です。
どうでもいいですが(いや、本質的には良くありませんが・・)、3年前、2014年に撮像したM16と、今年撮像したCMOSによるM16。表現が変わってません。
処理が安定している(と、いう評価も組写真では頂いてはおりますが・・・)と言えば、そうなのかもしれませんが、しかし、これは、この3年間、進歩がなかった・・と言うことでもあります・・・。
実際、そうなのですが・・・然し、あまりにも類似していて、ちょっと凹みました・・。
iイ彡 _=三三三f ヽ
!イ 彡彡´_ -_=={ 二三三ニニニニヽ
fイ 彡彡ィ 彡イ/ ィ_‐- 、  ̄ ̄ ヽ し ま
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冷却CCD vs CMOS ラッキーイメージング M51
左冷却CCD 2015年1月31日撮像 939分
右 CMOS 2016年6月2日撮像 256分26秒
正直に言えば・・。ALICE-IIによるM51は、不満を持っていました。やはり画素が粗いか、SXVR-H694の方が上だったな、と思いこんでいました。
しかし、こうして見比べてみると、ALICE-IIによるラッキーイメージングの方が、ディテールが良く出ていて驚かされました。画素ピッチは粗いのに・・。
しかし、これは、冷却CCDは、1月~2月の撮像で、当然、シーイングは良くなかった。
対して、ALICE-IIの撮影は6月ですからね。シーイングの差もあるかとは思います。
こうしてみると、オライオン30cm+パラコアⅡでは最高の組み合わせ、画素ピッチであるはずのSXVR-H694よりも画素が粗い、ALICE-IIの方が、ディテール描写は優れてました。
ただ、総露出時間が長めなのはあっても、淡い部分の表現力はやはり冷却CCDの方に分がありそうです。
とはいえ、淡い腕も、十分に、表現できているので、ALICE-IIによるラッキーイメージング撮像で、十分な成果を出せることは、確認済みではありますが・・・
NGC5907 Star Streams オライオン30cmF4反射望遠鏡 パラコア2 SXVR-H694 冷却CCDカメラ L=427分
ALICE-IIによるNGC5907 オライオン30cmF4反射望遠鏡 パラコア2 L=10秒×118枚 約20分
総露出時間が違い過ぎるので、結論を出すのは早計すぎる面はありますが・・・・
StarStremsの様な超淡い天体については、やはり、1枚あたりの露光時間ありき、だと考えています。
もっとも、この画像だけの比較では、あまりにも、CMOSが可哀想ですが・・
しかし、いくら、積み上げても(コンポジットしても) ゼロは、0、です。
CMOSの露光時間が思った以上に短かったのは意外でしたが、これを伸ばしても、引っくり返すだけの画質が得られるか、と言われれば、恐らくNo(と、自分では判断しています)でしょう。
限界が見えているなら、想像以上の期待も抱かない。
ALICE-IIをどう使っていくか、どう活かしていくか、その判断も十分にできるだけのデータは得られていると思うので、、、
そう考えると、やはり、理想は、遠征でのオライオン30cm反射望遠鏡+SXVR-H694冷却CCDカメラと、自宅でのALICE-II、あわよくば、そのコラボレーション・・・(淡い部分は遠征+冷却CCD、ハイライトはラッキーイメージング)
だいたい見えてきましたので、後は、その為の環境整備かなぁー・・と思っているところです。